コスタリカについて
コスタリカは、面積約5万1000平方キロメートル(九州と四国をあわせた程度)の、中米の小国である。約380万人が暮らし、国民一人あたりのGDP(国内総生産)は3000ドルあまり。コーヒー、バナナなどの一次産品に経済を依存する、典型的な発展途上国だ。一貫して教育重視の政策をとり、現在も国家予算の4分の1を教育費に割いているため、識字率も約95%と世界有数である。また、政冶に対する国民の関心は高<、投票率も長年約8割を保ってきた。自然保護の先進国としても知られ、国土の約4分の1以上が国立公園や自然保護区に指定されており、エコ・ツーリズムのメッカとしても有名だ。隣国ニカラグアからの移民は100万人にも達するといわれ、移民受け入れ大国でもある。
中米は、有史以来常に紛争の絶えない地域であった。その中でコスタリカでは、1949年11月7日に施行された新憲法の第12条に、常備軍の禁止が盛り込まれた。その条文は、要約すると以下のようになる。
・恒久的組織としての軍隊を禁止する
・大陸間協定(米州機構、米州相互援助条約)または国防のために、大統領は予備役を招集できる
・国内治安維持組織としての警察はこれを保有する
この半世紀、いくどとなく憲法の改定が行われてきたが、この条項だけは制定以来不変である。1983年には、当時の大続領であるルイス・アルベルト・モンヘが積極的永世非武装中立宣言を発表。あとを受けたオスカルーアリアス・サンチェス大統領も、周辺国の平和なくして自国の平和なしとして、内戦を続けてきた中米各国に停戦を呼ぴかける。この中米和平交渉の功績により、1987年にノーべル平和賞を受賞した。国連人権高等弁務官の設立を提案するなど、歴史的にも平和・人権分野での国際貢猷で世界に知られる国である。